幻の妙薬!?龍涎香に期待できそうな薬理作用

龍涎香は漢方にも使われる幻の生薬

育毛への竜涎香の可能性

マッコウクジラが消化できずに吐きだしたものが海を漂ってできる深く甘い香りの龍涎香(りゅうぜんこう)は、香料のみならず薬としての薬理作用が期待できます。龍涎香はアンバーグリスとも呼ばれ、多くの薬理作用があると伝えられ、伝承薬や民間薬として活用されてきました。

龍涎香は漢方の生薬としても用いられると記録にありますが、本物の龍涎香が見つかる機会はごく限られ、その薬としての作用を日常的に使用することは、難しいかもしれません。ここでは、そんな龍涎香に今後期待される薬理作用と古くから伝えられる効果・効能についてご紹介します。

新たに期待される龍涎香の薬理作用とは

2020年11月、新潟大学農学部の研究により、合成した龍涎香の香りに新たな薬理作用が期待できることが明らかになりました。龍涎香の人工的な合成系を確立し、薬として利用するために行われたこの研究の結果、骨代謝の改善とアルツハイマー病に対しての効果が期待できるといいます。

これは、龍涎香の香りの主成分であるアンブレインを微生物の酵素を人工的に改変して合成し、薬への利用の可能性を探る研究です。本物の龍涎香を使うのは至難の業ですが、合成した物質を安定して生産できるならうれしいニュースですね。

骨代謝改善

合成した龍涎香に期待される1つめの薬理効果は、骨代謝の改善です。私たちの骨は常に細胞が破壊され、新しい細胞がつくられる骨代謝を繰り返しています。皮膚が約28日で生まれ変わる仕組みと同じです。その骨代謝のバランスが崩れることで、骨粗しょう症につながり、骨がもろくなり、骨折する危険性が増します。

新潟農業大学の研究は、この骨の新陳代謝を改善、骨粗しょう症を予防し、骨の健康を守るための薬の開発につながるのではないかと期待されています。骨折は直接命に係わる症状ではありませんが、寝たきりになる原因にもなるため、予防が大切です。龍涎香が骨折の予防に使われることが待ち望まれますね。

アルツハイマー病予防

酵素合成したアンブレインに期待されるもう1つの薬理作用アルツハイマー病の予防効果です。2040年には7秒に1人の割合で認知症が発症すると予測されており、その予防への効果が期待されているのが龍涎香のアンブレインです。日本は認知症の発症率が先進国のなかでも高いといわれます。龍涎香がそんな状況に一石を投じる存在になるかもしれません、

参考文献:⿓涎⾹の⼈⼯的な合成系を確⽴して、新しい薬理活性を発⾒しました;新潟大学

龍涎香に期待できる漢方での薬理作用とは

龍涎香の味の働き

漢方の世界では龍涎香の味は甘・酸に分類されます。薬は酸鹹甘苦辛の5つの味に分類され、それぞれに効果の特徴をもちます。甘は足りないものを補う、痙攣(けいれん)性の痛みを緩和する、酸は体をひきしめ、出すぎるものを調整する働きがあると考えられています。

参考文献:漢方薬の気味概念;北里研・東洋医研医史学研究室 真柳誠

気を正常に巡らせる

龍涎香に期待される漢方の作用として「理気」があります。理気とは気の流れを改善し、正常に巡らせる機能を回復させることを目的とします。漢方では正常に気が巡ることで健康を保つと考えるので、この理気という働きは重要な働きです。

痰をとり除く

龍涎香には痰(たん)を除く働きがあるといわれます。痰がのどにからむ、はり付いて不快感があるときに龍涎香の作用が活躍します。痰は肺に侵入してきたウイルス、細菌、ほこりなどの異物をからめとって体外に排出するためのものですから、体に留めず早めにとり除いておきたいものですね。

意識をはっきりさせる

龍涎香には意識をはっきりと保つという働きが期待できます。意識は漢方でいう五臓(肝心胃肺腎)の5つの臓の機能を充実ることでしっかりと保たれるといわれます。ぼんやりした状態から意識を正常な状態いにもどすと考えられているのが龍涎香の薬理作用の1つです。

おしっこを出やすくする

龍涎香に期待される作用として通淋(つうりん)があります。通淋とはおしっこが出にくい状態を改善するという働きです。龍涎香の薬理作用が排尿障害の改善に働きかけ、症状の改善につなげます。

参考文献:東京芸術大学リポジトリ「薬石に関する資料」

龍涎香の薬理効果が期待できる症状

ここからは龍涎香の薬理作用が期待できる症状について解説します。次のような症状やトラブルや症状があるときに龍涎香の薬としての働きが期待できます。

咳がとまらないとき

漢方では龍涎香は咳(せき)を抑える働きがあるといわれます。咳は肺や気道から強制的に空気を排出するための防御運動で、咳がつづくとエネルギーを必要とし、体力が消耗してしまいます。高齢者は骨折につながることもあるので注意が必要です。咳のほかにも、頭痛、めまい、動悸、吐き気など、下降するべき気が下から上に逆流するような症状に龍涎香が効果的と考えられています。

意識に障害があるとき

意識障害があると、自分のことや周囲のこと、時間的、空間的な状況について判断ができなくなります。ときとして、意識がなくなる、正常な判断ができなくなる、いつまでも眠っている、昏睡状態が続くなど意識障害の症状がみられる場合に役立つといわれるのが龍涎香の薬理作用です。

胸や腹部が痛むとき

龍涎香の香りには鎮痛効果があるといわれます。胸や腹部に痛みを感じるときに龍涎香が有用と記録されており、昔の人は痛み対策として使用していたのかもしれません。

龍涎香で体と心も健康に!

ホワイト龍涎香

龍涎香を万能薬として珍重してきた地域もあり、その薬理作用は古くから知られていました。龍涎香はとても希少なものだけに、薬として使うには高価すぎるという問題があります。合成されたアンブレインに新しく見つかった薬理作用は今後も目が離せませんね。

投稿者プロフィール

atsuko
atsuko
自然派スキンケアクリエイター。主に薬草、ハーブなど天然のスキンケア素材、世界のインディービューティブランドについて書きます。趣味は美術館館巡り、植物の栽培や環境問題、女性の働き方にも興味あり、食いしん坊です。